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4月12日 ドラマ「あ・うん」 [2022年 日記]

リアルタイムではこの独特の暗さに滅入ってしまってチラ見ぐらいしかしていなかった。まだ若くて見られる頭ではなかったとも言える。

大人になった今見て、それは暗さというより落ち着きやつつましさという部類なのだということがわかる。

作者向田邦子の描く昭和の父親は威張り散らしていて、下手をすると疎まれるような存在ながら、居なければならない大事な人物であることが、頭ではなく腹の底から腑に落とされる。

登場人物ひとり一人がそれぞれ一生懸命生きている昭和。人に迷惑をかけたり、頼ったり頼られたり、憎んだり、けれど心の中では大事にしていて。

また、映像の端々にふんだんに描かれているのは、建て付けの悪そうな建具、効率悪そうな炊爨、寒そうでプライバシーもなさそうな暗い家。

楽で快適な生活を手に入れられた令和の今だからこそ、それらの中に息づいていてもう失われてしまったものたちになにがしかの評価をしておかなければならない時期に来ているように思った。

タグ:ドラマ

4月9日 映画「スタートレック イントゥ ザ ダークネス」 [2022年 日記]

スタートレック(1作目)が面白かったので見てみた。

ずいぶん後年に制作された映画なのだろう、いろいろと近代化していた。
調べてみたら34年も経っている。

フロンティア精神讃歌なのはシリーズ相変わらずだ。

善と悪、敵と味方が一見明確に分かれてないのは近年の映画ストーリーの複雑化に沿ったものだろう。
見ていてふと思ったのは、これは西部劇だなと。勇敢な主人公が荒馬を乗りこなして仲間とともに未開の地をめざして困難を越えてゆく。舞台が乾燥した荒野か宇宙かの違いだけだ。

やたらとカウントダウンが多かったり、走ったり、殴り合ったりと、展開が速くて、退屈な部分はないがそれも昨今の映画の作り方。2作見た限りは宇宙の深さや神秘性を描くタイプのシリーズではないようだ。

いつものように観た後にネットで情報を調べてみた。ロボコップやドクターストレンジに役者つながりがあったりして面白い。スタートレックという世界観は超有名で知ってはいたが改めて、膨大なシリーズ、独自の年表や用語など、かなり大きな広がりを持っていることがわかった。

タグ:映画

3月28日 映画「ゴースト ニューヨークの幻」 [2022年 日記]

単純すぎるようなテーマや設定ながら、素直に楽しめた。

地下鉄幽霊の怪演が、やや退屈になりそうなストーリーに絶妙なスパイスを加えてくれた。
主人公の、地面は踏めるのに物は突き抜けるという不条理や、異界からの影響が現世に及んで物事を変えてしまうタイムパラドックスなどは別に問題ではない。
ウーピーゴールドバーグのコミカルな演技は異文化の者が見ても面白い。人気者なのもうなずける。
デミムーアは、美しいと言うより可愛い。どこの造りがそうなんだろうと見つめているだけで時間が経つのでシーンが間延びして感じることがない。
主人公の行動はツッコミどころ満載だし、それがコミカルさというものか。

地下鉄内やダウンタウンの様子に、自分が安らぎを覚える場所ではないだろうなという感を強くする。

タグ:映画

3月7日 映画「あん」 [2022年 日記]

「何者かになれなくても、私たちには生きる意味がある」
就職を前にして気負っていた頃の自分が、ある人から聞かされた言葉と重なる。

「誰かのために何かをしたい」若者に原作者が違和感を覚えたところからはじまり、河瀬監督がハンセン病とからめて、味わい深い作品になっている。主演2人もこのうえなく渋い。(元?)患者役の両女優が、その後ほどなくして亡くなっていることを考え合わせて見るとさらにだ。

熊本にもハンセン病の人たちが住む施設がある。外を通ると静かで樹木がさやさやとそよぎ、この映画の風景そのままだ。施設の中も風が樹々をゆらしていることだろう。

何事かを成し遂げていないとは言えないだろう樹木希林さんが、この映画のプロモーションに精力的にかかわったエピソードを聞くにつけ、弱者へのやさしいまなざしを持った人だった事がうかがえる。そうなったのは自分の寿命が終盤にさしかかった事を自覚したからだろうか。フニフニと唄っていた頃から、好きでも嫌いでもない女優さんぐらいにしか認識してなかった無知な自分ではあるが、そうではないとなぜかはっきり感じる。
タグ:映画

2月27日 事実主義 [2022年 日記]

同僚がファクトフルネス?をやっている?勉強している?はまっている?
とか言ってた。

呼び方は記憶に残らなかったが、事実に基づいた考え方を積み重ねていくことに重点を置くことは大事。
推測で理解すること、デマや偏った主張に右往左往しないこと

けれど、その事実を手に入れるのが難しい


1月15日 映画「2001年 宇宙の旅」つづき [2022年 日記]

映画を観た後にいくつか引っかかる点があったので、原作を何十年かぶりに読み直してみた。

巻末の訳者あとがきにふれられているとおり、この作品については映画を観てから原作を読む、という順番が本当におすすめできる。映画のセリフの少なさに象徴される、映像で観るものの想像力を喚起するという構成が、文字による詳細な描写によって補完され修正され、拡大される。原作を読みながら、映画の1シーン1シーンがことごとく脳裏に蘇り、ただ文字をたどるだけではなかなかスラスラと頭に入りにくい翻訳ものがきわめてピタッと入ってくる。

前半の猿人のシーンも、ラストの跳躍シーンも、丁寧なガイドに説明してもらっているようだ。しかし、かと言ってイマジネーションが制限される訳でもないのが素晴らしいところだ。むしろ、より深遠な広がりとさらなる探究心を呼び起こしてくれる。また、木星表面や宇宙船内の生活などの描写は微細で、まるで自分が宇宙旅行をしているようで、読後には長旅の後の疲れのような感覚も残った。

前回あげた、HALが反乱した理由についてもすんなりと解き明かされていた。

前回の記事

アナロジーの話:
 猿人が投げ上げた骨が宇宙船に切り替わるカット。骨という道具、武器を使って猿人は飛躍的な進化を遂げた。宇宙船という手段を使って現人類は飛躍的に進歩した。
 宇宙船に乗った人類が未知の世界へ探検して素晴らしいものに生まれ変わる。精子に含まれた遺伝子が本能に従って探検し、これもまた素晴らしい胎児へと生まれ変わる。
 自らを信じるものが自らの存在を否定され危害を加えられそうになり、その予防に動く。人も人工知能も。
 スペースポッドが衛星を回り、衛星が惑星を周り、惑星が恒星を周り、恒星が、、、、


タグ:映画

1月9日 やっぱり春 [2022年 日記]

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ここのところ晴れの天気が続いている。昼間に風のない日に庭に出ると日差しで暖かく感じる。
まだ冬至の一番弱い日差しの日から1ヶ月も経っていないというのに、光に力強さを感じる。鈍感な人間でそうなのだからそれを心待ちにしている植物や樹々はなおさらわかっているだろう。

そう、来たる春の生命力爆発へ向けて準備をしておかなければならないのだ。枯れた枝の先に新芽のエネルギーを蓄え、土の中の根の隅々に目を覚ます用意をさせておくのだ。

人間が植物を見習うとすれば、閉じこもって動かなかった日々を改め、暖かい日には身体を動かしたり、じっと沈殿してしまっていた思考回路に刺激を故意に与えたりする、などか。

1月5日 映画「2001年 宇宙の旅」 [2022年 日記]

人生に影響を及ぼすような映画と言うとおおげさかもしれないが、思春期に見て衝撃を受け、そのまま何十年も時々思い出すのだから間違いでもない。そして世間の評価もそうだ。

最初に見た時はおそらく相当間延びした映画だなと思いながらなんとなく見始めて、だんだんと引き込まれ、ラストで呆然となっていただろう。横で見ていた父も感銘を受けた様子だった。セリフのないシーンが長々と続くのも2度目以降は気にならなくなった。むしろそれあってのストーリーなのだから。

同じような事が映像にも言える。ラストのめくるめく極彩色の連続がハッと途切れるとモノクロの固定画角に移る構成。音声にも。ポッドが登場人物を殺すシーンは無音だ。余計な音楽や効果音はない。音のない宇宙空間の怖さを想起させる。

監督のひとつひとつのこだわりの集大成と原作のストーリー自体が組み合わさって、見る人の心を動かす。

今回見て初めて湧いた疑問は、なぜHALは乗員を殺そうとしたか、だ。直接的には自分の判断ミスから自分を守るためだが、それならなぜ判断ミスをしたのか。本当にAE-35ユニットが壊れそうならほっておいても自分の判断の正しさが証明されるから故意にそう判断したことになる。ならば乗員を殺すため?乗員が後で知るはずの極秘ミッションを知ったら不都合なことでもあるのか?地上の科学者たちはHALに本当のミッションである木星探査の事を既に教えている。乗員と一緒に探査するのではいけないのか。おそらくどこかに答えはあるがしばらくそのまま放っておくのもいいだろう。

木星に到達したボーマンがポッドで無限の彼方に向かうシーン。急速に老けていくので超強力重力場か何かを描いているのだろうとは思っていた。でも説明は要らないかもしれない。どこかに向かったのだ。そしてその後の地上シーン、海上シーン、サブリミナル的にはさまれるボーマンのゆがんだ表情。さらに続く輝き拡がる星間物質のようなシーンには一瞬、精子が母体の中を突き進んでいるように見えるのも発見したがそれは読みすぎか、など考えるのもまた楽しい。

何度もの鑑賞に耐える映画。言葉で解説をいちいちしない余白の広さが嬉しい。映像の解釈には尤度があるのだから。

無機的な部屋で一人寂しくナイフとフォークで食事をしている時に金属音が響くと、かなりの割合でこの映画を思い出す。
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12月30日 ドラマ「刑事コロンボ 溶ける糸」 [2021年 日記]

刑事コロンボや大草原の小さな家は幼い頃によく見ていた。気に入ってカセットテープに音だけ録音した回が、「溶ける糸」。

何度となく繰り返し聞いたので劇中音やセリフのひとつひとつが脳裏に染み付いている。もちろんストーリーも、犯人とのやりとりも。

けれどもその記憶には映像がまったく無い。今回、テレビで放送されていたこれを懐かしく見始めて、犯人役がミスタースポック否レナードニモイであったことに驚いた次第。確かに幼い頃に外国の俳優の名前を覚えるほどの映画ドラマ好きでもなかったし、制作年もコロンボの方が先だ。

長身でスリム、失礼ながらスポックとは印象がかなり違って若手外科医を演じて二枚目だ。

コロンボの印象は幼い頃見たのと変わらない。人気ドラマになるのが腑に落ちるキャラクター像だし、今なお面白く見られる。
タグ:ドラマ

11月21日 映画「DUNE」 [2021年 日記]

前評判が大きいという事は見た後の賛否が大きく分かれるという事を意味している。

「メッセージ」「ブレードランナー2049」と素晴らしい作品を出し続けているドゥニヴィルヌーブ監督が、壮大なSF映画を作ったとなれば期待を大にして見なければいけない。

どうしてもデビッドリンチ版と比べてしまうが、スペースギルドのナビゲーターが出なかったり、ハルコーネン男爵のグロさが控えめだったりと、全体的に綺麗な作品だった。もちろんそれを補って余りがあるかどうかわからないが、サンドワームの描写、アトレイデス父の貫禄、母の美しさ、ポールのりりしさなどはしっかり鑑賞できた。

ただ、見る直前に知ったこともあり、これが前編でしかないという物足りなさ、消化不良感のようなものはどうしても残るし、世間の評価もそのあたりの話題が多いようだ。

前作は何度も見ているがまた見たくなった。
タグ:映画

10月17日 映画「メッセージ」 [2021年 日記]

原題は「arrival」
原作は「あなたの人生の物語」

与えられた人生を精一杯生きましょう。

国際線の機内で英語版を見て、内容がよくわからないまま消化不良でしばらく経っていたが、このたびiTunesレンタルでじっくり鑑賞できた。わからない部分はさらに見直してかなり胸のつかえが取れた。こりゃ、英語版で見てもわからないはずだ。

「女が強いのか男が愚かなのか」
夫は娘が将来死ぬことを妻に知らされて怒り、離婚してしまう。同じくそれを知っていても妻は受け入れる。
コミュニケーションが取れない相手に理論づくでアプローチしようとする男性陣に対し、主役の彼女はとりあえず話してみようと提案する。
妻が、世界じゅうの混乱ぶりに呑まれた様子で夫へ電話し、軍人の夫は愚行を犯してしまう。

「考え方は言語で醸成される」

などなど、色々と共感させられる内容だった。原作も難解だったが、文字は文字なりのさらなる広がりが感じられた記憶が強いので、もう一度読んでそれに浸ってみたい。



(2022.8.26 追記)
 原作を読み返してみた。やはりいい。
それほど長編ではなく、むしろ短編集の中の一遍なので、映画はいくつかのシーンをふくらませてあることになる。主人公が異星人との初対面でドキドキする場面や、爆発のシーンなどがそうだろうか。

そして再々度映画を見返した。
タグ:映画

10月16日 映画「スター・トレック」 [2021年 日記]

特に録画予約を入れようとも思わなかった有名映画だが、チャンネルを合わせたら始まっていたのでつい途中から見始めてしまった。そして意外に面白くなって最後まで。

ものものしくミスタースポックが登場するあたりから、副船長が機械の異星人と合体して新しい生命が誕生するまで、絶妙な構成でストーリーに引き込まれた。年代が古く、ボイジャーと言われて最近の若い人は何のことかわからないだろうが、ビジャーからの展開は面白かった。

人間が宇宙へ乗り出す意欲の原動力とは、新たな知性と出会いたい、に違いない。
タグ:映画

9月29日 映画「バイオハザード2 アポカリプス」 [2021年 日記]

ずいぶんゲーム版にはハマったが、映画も何作も制作されていて大ヒット。

ミラジョボビッチのスーパーヒーローぶりはもう面白いくらいだが、ジル役のシエンナギロリーの、戦闘なのに肌もろだしという衣装にはもっと笑ってしまう。せっかくモデル体型をキャスティングしたのでゲームのキャラクターのイメージピッタリにしました!ですね。見ているほうもそれでよいのだから誰も文句はないでしょう。調べてみたら、本人もゲーム版のジルの動きをしっかり研究したらしい。道理で。


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9月2日 映画「ロード オブ ザ リング 二つの塔」 [2021年 日記]

久しぶりにファンタジー的な映画を見た。さまざまな登場人物、民族、明快なストーリー。
殺される命の数にしたら相当なものになるのは明らかだが、なぜかその事は置き去りにしてもよさそうな気になる。けんかは男子の本質的なところをくすぐるようだ。

ドワーフ、エルフ、塔、洞窟、、、ドラクエの世界かと思えるような舞台がまたいいね。

もう一昔前の映画になってしまったが、出演俳優たちはどうしているだろう。
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8月12日 映画「ブレードランナー2049」 [2021年 日記]

1作目と比較するのも無粋なことだが、どちらも優劣つけがたい名作だ。
3時間以上あるので見始めるのにやや勢いがいる。

レプリカントを通して人間というものを描いているのは1作目と共通している。フィリップKディックの原作も確かそうだった。

最終局面で、主人公がデッカード、つまり人間を危機から救う。その危機もレプリカントが引き起こしているものだから、レプリカントの中でも葛藤が起きているわけだ。

単純なロボットと人間との違いは何か。SFに興味が無い人、現実重視な人などにはまったくそそられないテーマだろう。

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8月8日 山に登る理由 [2021年 日記]

山に登る理由を、歩きながら幾度となく考えてきた。

そこに山があるから、と言い切ることも出来ず、頂上が気持ちいいからだけじゃないのはとうの昔にわかっていた。スポーツと割り切る事は自分には出来ず、ましてや景色の良さ、自然との同化、それだけじゃないよな、と。人に説明できるような理由はいまだに思いつかない。

ここのところ一人で黙々と歩くタイプの登山を重ねていた中、これかなという候補が2つも現れた。

ひとつめ。
これは年齢を重ねたものだけが実感できる、重力への抵抗なのかも。
毎日鏡を見ては垂れていく皮膚に、女性でなくともがっかりする事が多くなる。
土地もそう。
尖った稜線は風雨にさらされ日光や温度変化にさらされ、重力に従ってなだらかになっていく。
山が高ければ高いほど下へ引きずり下ろしてやろうという力は強く働く。
逆に言えば、山は重力や自然環境に逆らってその高さを維持しているのだ。
そこに共感というか尊敬というか好意を抱くことは、同じ重力に捕らえられている人間にとっては自然なことではないか。

ふたつめ。
3月の冷たい雨の日。身体は濡れ、寒風に体温を持って行かれ、急登で心臓も苦しかった。

頂上から風下に少し回り込んで昼食。鼻水が落ちるのを構う気にもならず、濡れて冷たい弁当を流し込む。身体は寒さで縮こまって固まり、帽子からしずくがしたたる。
冷えて固まった白ごはんを割りながら、山に登るのは惨めになるため、というのがしっくり来るのに気づいた。
仕事でも生活でも、何でも経験済みで予測ができ、うまくやれる余裕。快適な暮らしを追求して作り上げてきた日々のルーチン。

そこから逸脱して惨めにならないといけないのだ。恐怖を感じ、自信を喪失し、たたきのめされないといけないのだ。快適ボケで年月を重ねていくとろくなことはないと、どこかで脳が司令を出しているのだ。

7月14日 映画「キリングフィールド」 [2021年 日記]

東南アジアの戦争映画、くらいの認識で見始めた。

内容はカンボジア内戦の話で、軍人目線ではなく米人ジャーナリストの体験記。予想に反して主な登場人物で殺される人は少なかった。

しかしそれでも血の色は随所に出て来る。後半はほぼダブル主演のカンボジア人ジャーナリストの脱出シーンが連続する。それがラストのカタルシスにつながる。

映画を見終えた後にはいつも色々とネットで検索したくなるが、このあと検索する単語は「クメールルージュ」に間違いない。

サウンドトラック担当はマイクオールドフィールド。もう少し彼の本領が前面に出ていても良かったかも。

1984年の映画なのでエンドではカンボジアの苦難は続いている、となっている。そんな状況の中でよくぞ製作したものだ。

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7月7日 映画「荒野の七人」 [2021年 日記]

いいなあ、西部
いいなあ、ガンマン

若かりし頃の輝かしい映画スターが続々出て来るではないか。ユルブリンナー、スティーブマックイーン、ロバートボーン、ジェームズコバーン、、、文句なし皆カッコいい。ユルブリンナーの立ち姿歩き姿、所作、ジェームスコバーンのスラリとした体型、チャールズブロンソンの表情、男っぽさ、男優たちの発声。

はるか昔に作られた映画だけれど、今見ても充分に楽しめる。
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6月27日 映画「私の頭の中の消しゴム」 [2021年 日記]

珍しく韓国映画。題名を耳にしたことがあった。

韓国美男と美女の切ないラブストーリー。

演技にもお国柄はもちろんあるとはいえ、嘆き悲しむシーンがオーバーに感じるのも「恨」に通じるところだろう。
最後近くのコンビニシーンで一人誰かわからない女性がいたが、編集されたものを見てしまったのか。それともあの人だったのか。そんな感じでいろいろつじつまがどうなのという部分がありそうだがそこは置いておく。

アルツハイマー病とはなんとおそろしい病気だろう。世の中にはできるなら身の回りに降りかかって来て欲しくない物がたくさんある。降りかかられた人もいる。そんな災禍を知らない人もいる。怖がってる人もいる。気にしないようにしている人もいる。


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5月25日 世界 [2021年 日記]

 その男の、がさつで下品な食べ方を見かけたのはイートインで。人間、好ましく思わないものは長々とは見つめないので、ほんの一瞬だけ視界の中央にそれが餌を食っているさまを捉えた、と言ったほうがいい。

身なりは薄汚れた作業着で明らかに労働者風。どうせ一番安くて腹がたまるものを食ってるのだろう。昼どきだったので作業の合間に腹を満たしに来たのだろうか。自分の餌を横取りされる心配は皆無なのにハイエナのようにあたりをキョロキョロ見回しながら猫背で食っている。イートインコーナーに入ってすぐの席に座っているので、通行の邪魔になっているではないか。奥にはたくさんの空席があるというのに。こんな人間は目先だけしか見えてないから最初に目に入った椅子にすぐ座ったのだろう。ひるがえって、俺は広い視野を持ってるから全体を見渡して、一番換気のいい、人通りの少ない邪魔になりにくい席に座っているぞ。しっかり30回は噛んで、正しい姿勢で、落ち着いてきれいに食事をしてるぞ。


 別の日、仕事で会った業者の方。

下請けに当たるので立場は弱いが、いやな顔ひとつせずにこちらの無理難題を真剣に聞いてくれた。契約には書かれてないと言われればこちらとしては何も言えないところ。いざ作業の段階になってはじめて湧き上がってくる変更点や修正点はどこの現場でもあるのではないだろうか。恐る恐る相談してみるとこころよく変更に応じてくれた。本当にありがたい。さして若くもない年齢とみたが、薄緑色の作業服が汚れるのも気にせず、ほこりのたまった床下に潜り込んで手直ししてくれた。テキパキとした作業で、しかもこちらが本来やらなければならない事も率先してやってくれたりして、実に楽。予定されていた作業時間よりかなり早く終わった。思いがけず余った時間で別の仕事も出来た。やっぱり日本を支えているのはこういう立派な労働者たちなんだろうな。


この2人の労働者。同じ人物であったとしても何の不思議もないことに気づいた。