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1月14日 映画「時計じかけのオレンジ」 [2024年 日記]

1972年
なぜこんなテーマの映画を作ろうと思ったのか、と言うよりもよくこんな映画を作ったなという感覚が近い

主人公や仲間によるクスリ使用シーン、暴力、セックス、非道徳行為の数々
けれど後半はそれをはるかに超えていやらしい
普通の人々、普通に見える人々がどれだけ残酷だか

主人公の母親は泣いてばかりで何もしない、父親はこれ以上ない優しい顔で、優しい喋り方で主人公の顔を覗き込む。その顔は、キングクリムゾンのアルバムに出てくる道化のように何かにこびへつらっている

冒頭の、主人公たちによる悪行三昧がかわいいものに思えてくるから、描き方とは恐ろしいものだ

主人公も、被害者である作家も、狂気の表情が過剰なほどの演技で、日本の映画やドラマの繊細な機微を表す演技とは大違いで面白いしいやでも目を引きつける
これらの役者が普段は普通の生活をしていることを想像すると演じるとはすごい技術だと思うし、映画とは面白いものだとつくづく感じる

「2001年宇宙の旅」のような、フィックスされたシーンの切り替えではなくドリーもズームも多用されていたのを見ると、自分の撮影スタイルに固定することなく、作品ごとに
最適な撮り方をする監督なのだろう

スタンリーキューブリックも既に亡くなっている、アーサーCクラークやアイザックアシモフも。カールセーガンやスティーブンホーキングもだ。偉大な先人たちにいろどられていた時代がひと昔前になっていきつつある。

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1月1日 映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 [2024年 日記]

2007年製作

若かりし頃のオカン役の女優さんが、美しすぎるわけでも演技がうますぎるわけでもなく、むしろ素人っぽささえ感じるのに、なぜか存在感がある。それが樹木希林さんの絶妙な演技につながり、2時間半の長さをあまり感じさせない。

共演の役者陣も個性的なメンツが揃っている。

前半の時代設定がもろに昭和なので、それはそれは懐かしい風景や風俗が描かれていてよかった。ボタ山と煙突の広がる炭鉱町のロングもどうやって撮ったのかわからないが、印象的なシーンだった。

母と息子の関係、息子からすればこんな世界になるだろうな、と思わせる。リリーフランキーの自伝とのこと。
妻と夫との関係、息子と父親との関係。その片隅に男と女の関係。奇をてらった表現でもなく特に大きな事件が起こるでもなく、それが見終わったあとのじんわり感につながる。別の表現をすれば、時の流れ、を感じる。

自らのひどくプライペードな過去を世間に公表するのは相当勇気がいるのではなかろうか。
タグ:映画