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8月8日 山に登る理由 [2021年 日記]

山に登る理由を、歩きながら幾度となく考えてきた。

そこに山があるから、と言い切ることも出来ず、頂上が気持ちいいからだけじゃないのはとうの昔にわかっていた。スポーツと割り切る事は自分には出来ず、ましてや景色の良さ、自然との同化、それだけじゃないよな、と。人に説明できるような理由はいまだに思いつかない。

ここのところ一人で黙々と歩くタイプの登山を重ねていた中、これかなという候補が2つも現れた。

ひとつめ。
これは年齢を重ねたものだけが実感できる、重力への抵抗なのかも。
毎日鏡を見ては垂れていく皮膚に、女性でなくともがっかりする事が多くなる。
土地もそう。
尖った稜線は風雨にさらされ日光や温度変化にさらされ、重力に従ってなだらかになっていく。
山が高ければ高いほど下へ引きずり下ろしてやろうという力は強く働く。
逆に言えば、山は重力や自然環境に逆らってその高さを維持しているのだ。
そこに共感というか尊敬というか好意を抱くことは、同じ重力に捕らえられている人間にとっては自然なことではないか。

ふたつめ。
3月の冷たい雨の日。身体は濡れ、寒風に体温を持って行かれ、急登で心臓も苦しかった。

頂上から風下に少し回り込んで昼食。鼻水が落ちるのを構う気にもならず、濡れて冷たい弁当を流し込む。身体は寒さで縮こまって固まり、帽子からしずくがしたたる。
冷えて固まった白ごはんを割りながら、山に登るのは惨めになるため、というのがしっくり来るのに気づいた。
仕事でも生活でも、何でも経験済みで予測ができ、うまくやれる余裕。快適な暮らしを追求して作り上げてきた日々のルーチン。

そこから逸脱して惨めにならないといけないのだ。恐怖を感じ、自信を喪失し、たたきのめされないといけないのだ。快適ボケで年月を重ねていくとろくなことはないと、どこかで脳が司令を出しているのだ。

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