SSブログ

5月25日 世界 [2021年 日記]

 その男の、がさつで下品な食べ方を見かけたのはイートインで。人間、好ましく思わないものは長々とは見つめないので、ほんの一瞬だけ視界の中央にそれが餌を食っているさまを捉えた、と言ったほうがいい。

身なりは薄汚れた作業着で明らかに労働者風。どうせ一番安くて腹がたまるものを食ってるのだろう。昼どきだったので作業の合間に腹を満たしに来たのだろうか。自分の餌を横取りされる心配は皆無なのにハイエナのようにあたりをキョロキョロ見回しながら猫背で食っている。イートインコーナーに入ってすぐの席に座っているので、通行の邪魔になっているではないか。奥にはたくさんの空席があるというのに。こんな人間は目先だけしか見えてないから最初に目に入った椅子にすぐ座ったのだろう。ひるがえって、俺は広い視野を持ってるから全体を見渡して、一番換気のいい、人通りの少ない邪魔になりにくい席に座っているぞ。しっかり30回は噛んで、正しい姿勢で、落ち着いてきれいに食事をしてるぞ。


 別の日、仕事で会った業者の方。

下請けに当たるので立場は弱いが、いやな顔ひとつせずにこちらの無理難題を真剣に聞いてくれた。契約には書かれてないと言われればこちらとしては何も言えないところ。いざ作業の段階になってはじめて湧き上がってくる変更点や修正点はどこの現場でもあるのではないだろうか。恐る恐る相談してみるとこころよく変更に応じてくれた。本当にありがたい。さして若くもない年齢とみたが、薄緑色の作業服が汚れるのも気にせず、ほこりのたまった床下に潜り込んで手直ししてくれた。テキパキとした作業で、しかもこちらが本来やらなければならない事も率先してやってくれたりして、実に楽。予定されていた作業時間よりかなり早く終わった。思いがけず余った時間で別の仕事も出来た。やっぱり日本を支えているのはこういう立派な労働者たちなんだろうな。


この2人の労働者。同じ人物であったとしても何の不思議もないことに気づいた。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。