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11月26日 秋も終わり [2022年 日記]

陽が差すと暖かい。そう言っていられるのも今日あたりが最後かもしれない。

バイクで出かけようという気になるのもそろそろ終わりかも。ということで、日中だけ近くの丘を走りに出た。まあなんだかんだ言って休日は必ずといっていいほど外出してはいるが。

秋の夕暮れにすすきの穂が輝く
時おり吹きぬける風は冷たいと言うほどでもない

同じことを考える人たちが、それぞれの秋を味わっていたようだ。
山を歩く人、バイクで走る人、郊外を走る人、犬を走らせる人、パラグライダーで降りる人、

帰り道には、オレンジ色の真ん丸な夕陽が地平線に沈むのを見ながらというおまけもついた。

10月27日 出ずっぱり [2022年 日記]

このところ大きな体調不良がなかったおかげで、いくつか旅をすることができた。県内の近場の散歩や低山歩きで満足していた、と思ってはいたのだが、やはりそれとは別次元の刺激を受けた。

旅の内容はと言えば、遠めでやや高い山に登ったり、かなり遠くに出かけてスケールの大きな山を眺めたり、初めて乗るバイクで遠出をしたりといった具合で、つまりはまれにしかしない体験をしたということ。

そんな刺激を受けると普段の生活に戻っても微妙に心持ちが違うものだが、その新鮮さもそうそう長く続くものではない。体調が悪くなるなどなんらかの事情でこういった外的刺激が得られない状態になった時、さてどうやってフレッシュな精神を持ち続けられるか、目下模索中。

9月21日 映画「アポロ13号」 [2022年 日記]

昨日今日と日中でも畑仕事が可能な暑さにまで日差しがやわらいできた。台風で飛んできた枝葉を片付け、家の周りを掃除してすっきりした。


アポロ13号
大きな目的へ向かった時に発生してしまった障害に、
大勢の人々の献身的な努力で立ち向かい、
乗り越えていく

そんなストーリーだ。

1995年制作なので今どきの映画のような派手な展開や細かい人物描写、目をみはる映像表現などはなく、どちらかと言えば地味な映画だが、クライマックスはさすがに目頭が熱くなる。

初回映画館で見た後に何かで読んだ、「宇宙船の寒さに共感できるように上映館の空調を寒く設定された」という話のとおり、映画館では途中で寒くなったように記憶している。しかし、快適性を追求しなければならない空調に、入場者に無断で演出をさせるだろうか。よくよく考えると怪しい説だ。

NASA管制室内の造りや、そこかしこでタバコを吸いまくっている職員たち。27年前の社会はそんなだったか。

「クラウドアトラス」に続いてトムハンクスものを偶然見てしまったが、どちらかと言えばこちらの普通の人間っぽい演技の方が穏やかに見ていられる。顔に模様がないだけのせいかもしれないが。

エドハリスやゲイリーシニーズあたりの俳優さんがいい味を出してくれている。近頃見かけないが時の流れなのだろうか。どこかで老け役として出ているのか。

見た後で、実際のアポロ13号の事故についての記事を読んだ。爆発の原因はひとつの部品の規格違いだったらしい。膨大な数のパーツを組み合わせて成り立つシステム、ひとつひとつが他への影響を及ぼし、あらゆるケースを考慮しなければならないシステム。気の遠くなるような英知の結集だ。

そもそもそこまでして宇宙開発を行おうとさせる原動力は直接的には金の力だろうが、国というものの方針が一番大きな原動力に違いない。国の方針は国会で決まる。
さて、まっとうな国会議員に票を投じているだろうかと考えてしまう。名前を知っている候補者だから、面白い事を言う候補者だから、はさすがにないけれど。

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9月14日 映画「イレイザーヘッド」 [2022年 日記]

相次いで台風が九州をめがけて到来している
けれども今年はじめが少なかったのでまだ14号と総数はこの時期にしては少なめ

イレイザーヘッド
有名だったので見てみた

これほどまでにカルト色が強いとは思わなかった
赤ちゃんの造形はハムスターなどの動物を飼ったことのある人にはより気味悪く映るだろう

ラジエータの女性が歌うシーンも、狂気を感じる歌とともにそこはかとなく気持ち悪さをもよおさせる

確かにDUNEのハルコーネン男爵に繋がるグロさだ

この映画が伝えたいものは?と考えてもいい類の映画なのか
悪夢とはまさにこんなダークなイメージ
気持ちを動かされるという意味ではかなりだった
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9月8日 映画「クラウドアトラス」 [2022年 日記]

今朝はかなり涼しく、バイクに乗ってて寒かった。

2012年の映画

一番の見どころは、エンドロールで流れる配役紹介の小さな動画だろう
え?この役もこの人?だとか、ああやっぱりだとか、3時間近く見てきた本編を振り返りながら楽しく驚かせてくれる
もうここまで来ると「仮装大賞」の文字がちらほら頭に浮かんでくる

ストーリーは壮大だ
時間軸では近世、近現代、未来
空間軸では南海の島、船上、ソウル、スコットランド、異星
これらのそれぞれでの出来事が比較的短いスパンで切り替わっていくので見ている方も頭の切り替えがたいへんだ
次のシーンの音だけ少し先行したり、故意に似たような映像で切り替えられている事も多く、余計に考えさせられる

たくさんの種類があるバイキングレストランで食事を終えた後の満腹感に似て、とりあえず何が一番おいしかったか思い出せない
しいて思い出すという作業をすれば、どのあたりがメインだったのかなというのが割とすぐに出てきそう

韓国系の顔やメイクの登場人物の話がいきなり展開しだしてアクションもこなす、ラブシーンもある、
これは「壮大な話」というのがテーマなのかと感じるほどだ

原作もあるようだ、果たしてこれを文字で読んだら、つまりずらっと並ぶ料理の数々をひとつひとつ味わいながら進めたらたいへんな食事になりそうだ

9月6日 映画「マグノリア」 [2022年 日記]

マグノリア
1999年、アメリカ

予想の上を行かれた展開

まあ、カエルが空から降ってくるのが予想できなかったことには何の後ろめたさも起こらないが、いくつものエピソードがどこでどうやって繋がるのか考えながら目をそらさなかった。だがしかし、だ。
これで一点で全ての話が繋がればよく構成されたもんだ、と言おう言おうと手ぐすね引いて見ていたのに
これぞサスペンスだ、と書こうと思って見ていたのに

ハラハラドキドキが3時間のうちに解決してスッキリするのが映画、それに対し、そうはハラハラしないけれど網の目のようにいろんなところが絡み合って決してスッキリさっぱりすることなく永劫に続くのが現実世界
そんなことを思いながらあと少しでスッキリするかと見ていたのに

結局、なさそうでありそうなこと、突飛なようで普通の人々の嘘まやかしの無い内面を見せてくれた愛情あふれる物語と認識させて終わるなんて

恐らくは警官の最後のセリフに凝縮されるだろう
クラウディアの一瞬のほほえみが一気に淫を、いや陰を陽に転じる
愛情のはけ口がないんだ、というのも現代に生きる我々にはある程度共感できる
弱さ、葛藤、性、夫婦の関係、親子の関係、きれいごとではない物事の数々、きわめつけにカエルか

たまにこうやって意表を突かれるから映画は面白い

当然ではあるけれど、出ている役者すべての演技力が素晴らしいからこそこうやって没入できるのだなとも思ったのはなぜだろう

すべてがひとつに繋がらなかったと思っているのは気のせいかもしれない、もう一度たどりながら見返してみたい

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9月4日 映画「ノイズ」 [2022年 日記]

8月の下旬から、朝晩の熱気が耐えられるものに落ち着いてきた。もう秋はすぐそこ

ノイズ
原題はThe Astronaut’s Wife

てっきりノイズが主題なら、マクラーレンのシーンで話題にあがっていた地球の誰かの妨害電波のせいで主人公は危機に陥ったのかと思った。考えてみればノイズは邦題なのだからそれはないはず。

さまざまな宇宙人像を見てきたが、そういう飛来のしかた、人類との接触のしかたがあったかと思った次第

地球を侵略するのに胎児を使うアイデアに驚くというよりは、開始10分から最後まで続く不穏な雰囲気が重くのしかかる

フラッシュバックでごく短時間の衝撃的ショットをはさむ手法は、そんなものとは対極の、安穏な、刺激のない日常を何十年も過ごしてきた身には少々つらくなってきた
宇宙人が夫に乗り移れるのなら、妻にもいつでも乗り移れるはず、乗り込んだ人の遺伝子に割り込めるのなら妻の遺伝子にも割り込めるはず、と考えると堕胎される危険はおかさなくてもいいだろうと思うのだが、そんな小さなことはあげつらう必要もなかろう

感電って怖いと思った

別の日に再度見返してみて重要な点を見逃していたのに気づいた
ラスト近く、夫が感電する前に、妻は足を上げて感電から免れようとしていた
妻は双子を産むつもりだったと取れる
夫を殺し、妹を殺した宇宙人は殺したい、しかし我が子は生かしたい、たとえ宇宙人の子でも

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8月22日 映画「グレートビューティー 追憶のローマ」 [2022年 日記]

蝉の声がうるさくなくなり、朝晩の熱気も攻撃的なものではなくなってきた
そろそろ秋の気配が忍び寄る頃

2度目の視聴

初老の作家の身の回りの様々な出来事が、ローマの日常風景に滲み込むように描かれる
夜や明け方の陰影が美しい

初めて見たときは理解できなかったシーンも今回はいくつか解消できた
説明的な描写ではないため、トータルで考えないとわからないことも多い

facebookなどSNSを冷やかすようなシーンは前回見た時も新鮮だったし、
主人公の初恋のシーンも印象に残る、深く、美しく、切なく

ラストシーンも解釈が見るものに委ねられている部分が大きい
この作品のテーマを含蓄する終わり方。秀逸なカットとセリフの組み合わせ
見るたびにほんの少しずつ繋がる断片

「人生はトリックのようなものだ」
特に年齢を重ねてきた人たちにとっては腑に落ちるかもしれない

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8月20日 映画「キングコング」 [2022年 日記]

1933年製作

モノクロ
ストーリーはおなじみの、南の島からニューヨークエンパイアステートビルまで

最初期のこの作品では、女優がキングコングに情けを感じるくだりはない

コマ撮り撮影の技法らしいが、滑らかではないものの動きは巧みだし感情表現もしっかりしている
ラストのセリフ「美女が野獣を殺した」と、南の島から無理やり連れてきた男にしたり顔で言わせているが、あまりしっくりこない
なぜか考えてみたがそれを言うにはコングが女優にぞっこん惚れ込む必要があるし、
それを描いたとしても、島からコングを連れ出さなければ殺されることはなかったし

ただそこはあまり深く考えなくてもいい気もする
凶暴な野獣がただ一人、女優にだけは暴力をふるわないどころか身を守ってやり気配りをするという一点だけで、意外性を強調する意味でそう語らせただけかもしれない

昨今のすごく精密で作り込まれたリアリティあふれる映像で見る恐怖映画も充分に恐怖心を呼び起こすが、90年も昔のカクカクの動きの白黒映画でもかなり怖さを感じさせてくれる
リアルな怖さとは別の、イマジネーションによる恐れを呼び覚ますとでも言おうか、見るものの脳内でイメージを再生成させてくれる

原住民が作った大きな壁、ジャングルの崖や立体的な洞窟、恐竜の口を裂いて倒すなどなど


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8月13日 映画「コンタクト」 [2022年 日記]

ジョディフォスターの演技が光る。
1997年製作だからもう25年も前の映画になる。そう言われればコンピュータの外形だとかテレビの画角が横長でないところなどに古さは感じる。

われわれ人類はなぜここにいるのかという極めてストレートな問いに、これまた真っ向から答えを見せてくれるような内容だと感じた。あいまいにしておいて見るものに考えさせるのではなく、具体的な映像で見せてくれる。宇宙ものの映画が、しかも見応えのある映画がたくさん見られるようになった近年だがこの時代にここまで完成度の高い映画があったとは知らなかった。

カールセーガン著の原作に基づいたストーリーとのこと。宇宙好きの少年の夢をひととき共有させてもらった。

 ものすごい発見をした時に、誰にどう明かす?
 功績を横取りされようとしている時に何をする?
 好きな人と離れても不毛な周波数探索のルーティンに出かける?

そんなことは二の次なのだ。

一部分、和室や日本人スタッフなどのシーンが出てくるが、はて欧米人からしたらこれらのモチーフはどんな位置付けになるのだろう。遠く離れたサポートのない異国か?何を考えてるかわからないが決められた事だけはこなす人種か?

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7月31日 映画「ひまわり」 [2022年 日記]

1970年作
男女の恋愛と別れという、おそらく終わることのないテーマを取り上げている。

序盤の恋愛シーンを見ていると、つくづくお国柄の違いって大きいなと思う。大雑把な調理や砂浜で抱き合うなど、この国でもあるにはあるだろうが大方はもっと大人しくやるだろう。

戦争が2人を分けてからのそれぞれの表情はさすが名優という演技。ロシア女性も美しく切なげ。

ミラノの出札口の駅員が見ていた雑誌にボカシが入っていて、それを主人公がどう感じたのかわからずじまいとなった。ある程度は想像出来るものの少しモヤモヤする。

小麦を口にする時に、ウクライナの丘陵に広がるロシア兵イタリア兵の墓が頭に浮かぶだろうか。いや、そんな具体的な反応は必要ないだろう。この世というものはどこでも多かれ少なかれ、先祖の累々たる想いが沈殿した上に出来上がっていると認識しておけばいいから。
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7月27日 映画「影武者」 [2022年 日記]

登場している俳優に「乱」と重なっている人が多いせいか、このようなシーン見たことあるなということが多かった。

ストーリーでは、武田信玄が去った後の影武者が主人公になるのかと思いきや、意外と早く影武者でいられなくなり追い出され、以降は存在感があまりなかった。影武者の目を通した戦場という様相だった。なぜ意外と、と思ったのかと言えば、中盤で山﨑努から出た思わせぶりなセリフ「影武者である彼にも同情する」。ということは、この後は彼の心境がクローズアップされるのかと思った。たとえ追い出されたにしてもその後の人生に影武者だったことの影響がどう出てくるのか、などという視点があるのかと。しかしそうではなくその後の天下取りの情勢に向かった。

戦乱の哀しさは感じ取れたし、3時間の長さも終盤ややつらかったが飽きずに見ることができた。クレジットで流れた女優がどの役だったのかまるっきりわからないのは時代劇ではよくある。この役が誰かとわかって見ても凝視して想像を働かせないと頭がついていかない。

中盤で影武者が悪夢を見るシーン。後の黒澤監督の「こんな夢を見た」に共通している。極彩色の夢幻的な空間で苦しみもだえる主人公、イメージ的なシーンだが「2001年」の宇宙の彼方へのシーンを思い出した。

仲代達矢の演劇的な動きやセリフ回し、隆大介の豪快な振る舞い、根津甚八の独特な目つき、大滝秀治の達者な芝居、どれもこの映画にピタッとはまる。

調べてみたらこの映画は「乱」の準備版だとか、主役は元々は勝新太郎だったとかおもしろいエピソードがあった。

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7月12日 映画「イージーライダー」 [2022年 日記]

テレビドラマと映画の違いはなんだろう、と思うことが時々あって、ビデオとフィルムの違いだとか、CMが入るかだとか、予算の規模だとかあるにはあるものの、線引きをする必要性にはしっくりこない。メディアがテレビか映画館かってのもあるか。

この映画を見て、あいまいではあるが新たにひとつ、映画の存在理由が加わった。

それは、製作者の明確な制作理由の存在だ。

見る人の興味や関心に入り込んでいく作り方、見る人を楽しませよう考えさせようという意図が透けて見えるテレビドラマ。
映画も多くはその傾向があるがそうではないものもある。時代を記憶しておく、人物を記録しておく、風俗を。あるいは映像で表現できることで何か新しいものを作り出す。


この映画、見るまでは暴走族のような高い位置にあるハンドルのバイクで、アメリカ大陸を陽気に駆け抜ける映画だと勝手に想像していた。

主人公が麻薬の密売仲介をする冒頭からしてあまり共感できそうなストーリーではないなと感じつつ見始め、中盤のヒッピーコミュニティーや後半のハイなイメージショットのカットの連続には画面を見続けるのもつらくなった。カット切り替えを3回すばやく往復させるシーン転換もめまいがしそうで苦しかった。ドラッグやった頭が見るものを暗示しているのかもしれない。ラストシーンに至っては怖いというか悲しいというか。

そんな訳で、陽気なバイク映画を見るつもりだったのが重くて気持ち悪い後味を残してくれた映画を見てしまったのだった。

そんな後味を残せるテレビドラマはあまりないだろう。その気持ちが直後のCMの商品に乗り移る。
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6月5日 耕運機を買った [2022年 日記]

かれこれ何十年もクワと手で家庭菜園と向き合ってきたが、腰痛を抱える身体と雑草との力関係がどうも逆転したと認識せざるを得ないここ数年。あきらめて電気の力に頼ることにした。

ドライヤーほどの電力を消費する電気製品なのでうしろめたい。そこまでして自分の欲に流されなければいけないかと思わないこともないが、あまりその手のストイックさは自身にとってプラスにはならないということも近年わきまえてきた。

畑に乗り入れていざ使ってみると、予想どおり硬い地面に軽い機体が跳ねること。よくレビューにおさえることが必要とあるが、腕の使い方が自分でやってはじめてわかった。しっかり持つではなく軽く保持しつつよそを向かないように時々調整してやるのだ。宇宙船のスラスターのような微調整。跳ねる機体を下方向へ押し付けて跳ねないようにしようなどど思ってはいけない。小型機とはいえ15kgの鉄が飛び上がるのを押さえつけられるほど人の力はないし、いつ跳ね上がるかもランダム。

そして、方向転換が想像以上に難しいことがわかった。

柔らかい土の中にくいこんだ4枚の鉄の爪の向きをグイッと反対方向に動かさなければならないのだから考えてみれば当然だ。舗装路を車輪で回転させるのとは大違いなのだ。ゆっくり爪を回転させながら徐々に回すのが正解なのだろうがまだコツがつかめていない。手前の抵抗棒の下に硬いものを敷いて支点にして、爪部分を持ち上げて回すというやり方をやってみているがこれは違うだろう。

作業効率は明白だ。腰に負担はかかるがなんとか広い範囲の地面を、思ったよりも深く耕せることがわかった。これまで何年も苦しめられてきた雑草のメヒシバやハマスゲをガンガン掘り起こしてくれるが、それらを取り除くのはさすがに手作業なので結構疲れる。トータルとして、非常に腰に負担のかかるクワでの耕起作業からほぼ解放されて、別のより腰に負担の少ない作業に労力を移行させたということか。

5月25日 フルーツ好き [2022年 日記]

フルーツが好きな人には嬉しい季節だ。

スイカ、メロン、イチゴ、甘夏、パパイヤ、もうすぐスモモ、桃、ぶどう
年齢によって好みの食品も変わっていくものだ


5月4日 映画「DUNE」 [2022年 日記]

もう何度か見たが、初めてすべての筋が腹に落ちた。
最初に見た時は下品な描写に驚き、フレメンの青い眼に心を躍らせたものの、話の展開についてはなかなか追いつけず消化不良だった。

ヴィルヌーブ版も文句なしにいい映画なのだが、なんというか昭和世代の心をくすぐる一昔前感を終始楽しめる、80年代のこちらがしっくりくる。

展開を追うのに余裕が出てきたおかげで、どこが見ていて気に入ったのかいくつか確認できた。

アナログで非実用的な造形
 ーーー 宇宙船の形状、皇帝の宇宙船操縦席の丸く向き合って座る形状、アラキス探査船のマイクの細長く堅い形状、ソファのような格子状室内壁、浮遊する照明の意味ない翼、スペースギルドのナビゲーター、その付き人の衣装、ギーガーやガウディを思わせる装飾

グロテスクで汚げな人々
 ーーー ハルコネンすべて、眉毛のもっさり感、頭髪がごわごわあるいは皆無、生き物の体液を摂取、フレメンの埃っぽさ

ショーン・ヤングとジェシカ母の美しさ、TOTOとENOの音楽、カイル・マクラクランの自信に満ちた表情、随所に入る心の声


デビッド・リンチが描いてドゥニ・ヴィルヌーブがカットしたものを抜き出せば両監督の(プロデューサーの)好みがなんとなく分かる。

で、原作者は必要のために権力・搾取・征服・復讐を描いているのだが、今この時間にも砲火に怯え命を落とそうとしている人たちがいる事を思い出さずに見ることはできない。娯楽と言いきってしまえればいいのだが。


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4月27日 映画「山猫」 [2022年 日記]

永らく外国からの侵略による支配を受けて来なかった国の人間からすれば、それと正反対の国の事情や人々の感情を理解することはたやすくない。それでもこれを見終わった後にはそんな人々の深い深い哀しみがほんの少しだけ感じられる、いや感じなければならないように思える。

久しぶりにバート・ランカスターにお目にかかった。立派な体格に豪快な性格のイメージなので公爵役にはピッタリだ。若い頃のあふれんばかりの男っぽさぶりは一昔前の「スクリーン」や「ロードショー」などの映画雑誌の表紙にうってつけだ。

これまた自分とは全く無縁の、貴族階級の生活ぶりの描写も興味を引いた。おかかえ牧師との関係、政治との関係、民衆との関係。

そして、日本人なら100%やらない、もしやっても後でこう行動するなどと思いながら他国の人々を見る、まるで海外旅行気分だ。

おっと、舞台の土地を書いていなかった。現在のイタリア南部シチリア。描かれている時代は調べたところ19世紀なかば。乾いた土地を吹き抜ける風を見ているとゴッドファーザーを思い出す。

バート・ランカスターやアラン・ドロンのイタリア語がひどく上手だと思っていたら吹き替えとのこと。無駄なことだがもう一度見て確認してみたくなった。

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4月24日 映画「乱」 [2022年 日記]

これまで何本か黒沢監督の映画を見て来たが、これもまた黒沢監督らしさ全開の映画だった。

ただ、ずっと仲代達矢の芝居を見ているような感覚に陥る事もあった。製作に携わられた方々には失礼な言い方かもしれないが、雄大な自然や城下で繰り広げられるおとぎ話のような贅沢な舞台。そういった意味では少し前のハリウッド映画の特異な主人公のようでもあり、映画という世界の魅力の一面とも言える。

ピーターの演じる道化の役回りもどこか共感にまで至りにくかったのは自分の感受性の少なさのせいだろう。なぜそこで素っ頓狂に踊り出すのか、なぜその場面で声をあげて悲しむのか。

荒野に煙が流れる幻想的なシーンや、わざわざ風の強い日を選んで撮ったであろうシーンは確かに印象に残るし見ていて満足感が大きい。視聴後にも思い出すのはそんなシーンの数々だ。

見たことのあるような大草原の風景は、やはり阿蘇やくじゅうでのロケのようで、撮影協力にクレジットされていた。山並のスカイラインの形から、知った山が出ると興ざめするなと余計な心配をしていたがそこは大丈夫だった。山名を同定できる山には幸い気づかずに済んだ。もちろんカットカットのアングルに気配りがされているのかもしれない。

憎しみあい苦しんで生きるのが人間だ、哀しい性。それをわかったうえで、悲しんで暗い気持ちになるのか、それともそうだと受け入れて生きていくのか。大きな違いだ。たとえ受け入れていくにせよ、人への見方が希望や明るさに満ちたものでなくなり疑いや冷たいものになるのなら、これもまた哀しい事だ。

否、最後のシーン、仏の掛け軸を見せることで、そういった自覚をしているということ自体で救いになっていると受けとめたい。

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4月13日 映画「オリエント急行殺人事件」 [2022年 日記]

有名な作品は見ておかねばと録画した。

1970年代の作品にもかかわらず想定外の斬新な種明かし。そして無罪放免どころかワルツをバックに乾杯するエンディングでややあっけにとられる。

ポワロが容疑者を次々と尋問していくくだりが面白い。質問の仕方、相手の反応、答えに対するさらなる質問、意表をつく行動、そもそもの聞いていく順番。

鉄道ファンとしては長々とたくさんの車両を引っ張る機関車かなと期待していたがわずか数両だったのが残念。

アガサクリスティーは人気作家だという事だけは知っていたが、原作を読めば確かに面白そうだ。
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4月12日 ドラマ「あ・うん」 [2022年 日記]

リアルタイムではこの独特の暗さに滅入ってしまってチラ見ぐらいしかしていなかった。まだ若くて見られる頭ではなかったとも言える。

大人になった今見て、それは暗さというより落ち着きやつつましさという部類なのだということがわかる。

作者向田邦子の描く昭和の父親は威張り散らしていて、下手をすると疎まれるような存在ながら、居なければならない大事な人物であることが、頭ではなく腹の底から腑に落とされる。

登場人物ひとり一人がそれぞれ一生懸命生きている昭和。人に迷惑をかけたり、頼ったり頼られたり、憎んだり、けれど心の中では大事にしていて。

また、映像の端々にふんだんに描かれているのは、建て付けの悪そうな建具、効率悪そうな炊爨、寒そうでプライバシーもなさそうな暗い家。

楽で快適な生活を手に入れられた令和の今だからこそ、それらの中に息づいていてもう失われてしまったものたちになにがしかの評価をしておかなければならない時期に来ているように思った。

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