この日がその日だったかも。2月2日、どんよりした曇り空から薄日がさしてきて、やがて晴れにゆっくりと移っていく一日、ジョギングをした。

菊池恵楓園を起点に9キロ、1時間1分。キロ6分45秒。まだまだフルマラソンを走るには身体が重い。この辺りは、熊本市からなだらかにせり上がったゆるい丘になっていて、ここからまた菊池山鹿方面へ向けてごく緩やかな勾配で下がっている。白川水系と菊池川水系の分かれ目だ。

周囲から少しだけ盛り上がっているということは、見晴らしがいいことを意味する。高い建物が少ないことも手伝って、遠く阿蘇の外輪山、というより山裾がなだらかに伸びている景色が視界を占める。こせこせした景色の熊本市街地とは全く違う。

そんなこの場所にハンセン病療養施設が建つ。この雄大な景色を、隔離される患者のせめてもの慰めにして欲しいとの意図が、立地を選ぶ際に少しでもあったとすればありがたいが。

麦畑の緑が色を濃くし、枯れた路端の雑草の中に勢いのあるものが出てくる、ごくわずかな動き。暗く長い冬が終わろうとする年に一度の日。その日だったようだ。暦を見るとなるほどもう立春だ。