24日に書いた記事「エベレスト3D」の続き。

これは1996年の実話をもとにした、エベレスト登山隊の大量遭難事件の話で、登場人物も実名で演じられている。

隊の編成から入山、キャンプを前進させて登頂、下山途中の遭難、その後と、時間軸に沿って進んで行く。エベレストや周りの山々の雄大な景色が、見終わった後には本当に登ってきたかのように感じられるほどリアルに体感できた。

登山を少しかじった者の視点から見ても感心させられるディテールの描き方で、身体への雪の付き方、凍傷で黒くなった皮膚、滑落からのピッケルストップの様子などなどが見事だった。疲労の限界に達した人が、音も無く一瞬で視界から消えて下に落ちて行くのも怖いほど現実的に感じられた。

逆に、現実をそのまま切り取って映像にしたら映画にならないシーンというのもあるのは仕方ないことで、そこもうまく表現されていた。猛吹雪なのに薄日がさしているように妙に明るい、凍える中でハキハキしゃべる、皮膚を出したら即凍傷になるのに吹雪の中で顔を丸出し、などなど。

そうそう、登山隊に日本人女性がいた事に驚き、6大陸最高峰に既に登っていてエベレストが最後の7峰目だったことに驚かされた。映画の中では、屈強な欧米男性たちに混じって、か弱くコミュニケーションで置いていかれそうな日本人として描かれる。そこもいかにもそうだなという風に描かれている。