「風呂上がり
    パンツいっちょで
           青い月」


そんなことはなかった。普通に黄白色だ。確かに明るいは明るい。スマホで撮影したら太陽コロナみたいに光軸がはじけるが、もちろんこれはカメラ側の光学現象が起こしているもので、月からかっこいい輻射が四方八方にビーム!しているわけではない。

もしそうだったら、綺麗だろう。無限に広がる真空空間に圧倒的な真理をもって解き放たれるエネルギーの束。直視できないほど輝く青白い光芒。近寄れば死を意味する放射線。銀河系にはそんな場所はごろごろしている。

月面ではウサギが逆さまの窮屈な体勢で餅をついてるのが見える。月面を想像してるとあのハリウッド映画が浮かぶ。宇宙服を着たままポツンと月面に座り、青い地球が浮かぶ絶景を眺めている主人公。流れるはin another word〜とかいう詞の歌。ネットで調べりゃ何の映画か一発で分かるのだろうけど、月の光はそんなことしなくてもいいじゃないかと引き止めてくれた。

インターネットに最初に出会った時はその可能性に驚いたもんだが、それがもたらした副産物もたいした範囲に広がる。LINEいじめ、既読無視、SNS疲れ、ネット依存、ながらスマホ、、、携帯型端末についてだけでもいくらでも出てくる。

闇ともやにくるまれ魑魅魍魎が跋扈していた、とは言い過ぎかもしれないが茫洋とした時代から、赤裸裸で明快、隠れるところもない、微塵のミステイクも見逃されないネットの時代へ、確実に流れつつあるのだ。いや間違いなく進歩してるんだけれどなんだかなあ。